韓国映画『シュリ』レビュー。感動で、思わず泣けてくる。 韓国映画を世界に知らしめた金字塔!

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1999年に公開され、韓国国内で空前の大ヒットとなった韓国映画「シュリ」。

今回は「シュリ」のストーリーや制作エピソード、そしてこの映画の背景にある韓国と北朝鮮の歴史的背景について解説する。

韓国映画「シュリ」解説。世界が熱狂し驚愕!!

今回から、韓国映画についてみていく。
2021年には、「KCIA~南山の部長たち~」という映画がヒットしましたが、舞台となったのが朴正煕大統領時代。
そこで見ると、大統領の巨大権力というものが見えてくる。同じ権力でも日本は、首相だ。

【画像:官僚だから知っている菅総理の「サイン、顔色、理屈」 | Forbes JAPAN

【画像:朴正煕 – Wikipedia

しかし、権力としてはやはり、大統領のほうが大きい。

まずは、韓国映画のシュリを見ていきたいと思う。1999年に公開された「シュリ」は、韓国国内動員人数600万人を超え、全国民の約7人に1人が観た大ヒット映画である。

それは、今なお準戦時体制である韓国と北朝鮮を描いている韓国映画『シュリだからこそ』。今見ても引き込まれるほど面白い。

【画像:Amazon | シュリ [DVD] | 映画

『シュリ」は海外マスメディアの評価も高く、AFP、ロイター、AP、CNNといった主要メディアが出演した俳優やスタッフのインタビューを熱望した。

韓国では1999年2月13日に、日本では1999年秋の東京国際映画祭にて主演のハン・ソッキュの舞台挨拶つきで渋谷公会堂で上映されたのち、2000年1月22日に公開された。

公開された時代としては、金大中大統領時代。その頃、国策として、車一台売るのではなく映画や音楽の販売流通を促進しようとする動きがあった。

【画像:シュリ : 作品情報 – 映画.com

その時代の初めに公開されたのが『シュリ』である。韓国国内で観客動員数621万人(うちソウル244万人)、日本で18億円の興行収入となった。

韓国の情報機関と北朝鮮工作員との激しい攻防を描いたアクション映画。ハードボイルドな作風ながらラブロマンスありサスペンスありの極上の作品だ。


【画像:シュリ : 作品情報 – 映画.com

韓国がいかにレベルの高い作品を作っていたのかを知れる名作である。

熱狂的なロマンス。驚異のアクション。

「シュリ」は南北分断という深いテーマを抱えながら、南北の民族的な悲劇を韓国の情報機関で働くユ・ジョンウォンと北の工作員、イ・ミョンヒョンとのラブストーリーで描くアクションとロマンスを融合させた作品だ。

韓国映画人の英知の集結

「シュリ」の制作費は約3億円ともいわれ、韓国映画史上最高ともいわれる。

国際映画賞を受賞するなど、超ド級の映画である。

そして、今回の作品は今までの韓国の映画人でない新しい韓国の才能が結集して制作されました。

監督は、カン・ジェギュ。「銀杏の木のベッド」でデビューし、96年の興業成績トップを叩き出している。

主演は、韓国が誇る大スターのハン・ソッキュ。この映画の大ヒットで日本でも人気を集める。

ヒロイン役は、キム・ユンジン。「シュリ」がスクリーンデビューだが、一躍大スターにのぼり詰めた。

この二人を中心にドラマを展開しますが、この二人とは全く性格の反対となる役どころとして、民族の悲劇や痛みを象徴する難しい役所として北朝鮮の特殊部隊の隊長役として、ベテランのチェ・ミンシクが、二人の役どころを強く引き立てています。

それと、主人公のハン・ソッキュの相棒役として人情味厚いソ・ガンホも登場しています。

今回の作品が、キッカケでチェ・ミンシクやソ・ガンホは、日本で公開される韓国映画でおなじみの顔として認知されるようになりました。

この中でチェ・ミンシクが、圧倒的な存在感を出しています。

観ようによっては、主人公を喰っているほどの存在感です。

それもそのはずで、シュリが公開される前までは、チェ・ミンシクは日本では、あまり知られていませんでした。

もしかしたら、韓国映画に元々から詳しい人は知っていたかもしれませんが。

しかし、元々韓国では、チェ・ミンシクは大ベテランでした。

確かにこの映画を見れば、納得です。

圧倒的に凄いです。

冒頭の工作員養成所の教官役として、チェ・ミンシクは登場します。

チェ・ミンシクが演じる敵役のヒーロー役は、冷徹で無表情な性格であり、ヒロインのキム・ユンジンの扱いも作戦遂行のためのコマの一つとして接します。

北朝鮮時代の工作員養成所の教官役として、キム・ユンジンに対しての訓練においても厳しさをもって接します。

その厳しさは、養成所を退所して敵地に潜入して様々なミッションを遂行するためには必要な事です。

その過酷な密命指令でキム・ユンジンの精神的危機を醸し出しており、主人公のハン・ソッキュと出会ったときキム・ユンジンは重度のアルコール依存症だったエピソードが描かれていました。
精神的危機をアルコールで何とか正常に保っていたものとうかがわせる。

こうしてラブロマンスを象徴する、ハン・ソッキュとキム・ユンジンが軟ならば、硬を象徴するのが、チェ・ミンシクになります。

ヒーローとヒロインとアンチヒーローという2つの対立図式以外にもう一つこの作品は、大きく2つの軸をもった作品です。

一つの軸は、お互い敵同士のスパイの男女のラブロマンスを軸とした感情に強く訴えかけるドラマです。

もう一方は、南北分断という政治的なシリアスなメッセージを持った軸を持っています。

ただ、政治的な要因は、主軸となるラブロマンスをさらに引き立てる為の影の要因として使っています。

政治的な要因が多すぎると重苦しいだけの作品になってしまします。

なので、今回は映画上、政治的なセリフやシーンして多くはありません。

韓国潜入時、ビル爆破の予告をしたシーンで、主人公のハン・ソッキュに対して、爆弾を仕掛けたことを電話連絡するが、その際に目の前にいた一般人が酒に酔って吐いていたことに触れている。

韓国では酒に酔って吐いていてるが、同じ半島でも北の祖国では、そもそも酒を飲めない。

だから北では酒に酔って吐くこともないことを悲観して毒づいている。

最後のシーンで、ハン・ソッキュが、チェ・ミンシクに対して、貴方たちが行おうとしている事の誤りを指摘する。

「行おうとしたことは、新種の液体爆弾を使い、南北首脳が集まった親善サッカーの試合会場を爆破して、その爆破を韓国側の陰謀として、北の軍隊が韓国に宣戦布告して武力で南北統一することを計画していた。」

そして、ハン・ソッキュが、朝鮮戦争もかつての北の指導者(金日成)の判断ミスで南北の多大の被害と不幸をもたらした。

と、述べた。

その後に、最後の決闘シーンで、ハン・ソッキュが、先程の指摘したことに対してチェ・ミンシクが激怒して、「お前たち韓国人が、のほほんと南北統一を唱えている最中、北では、飲まず食わずで強制労働させられ、食うものがなく、木や雑草を食って、餓死した我が子の肉を喰い、娘を売春宿に売り払い食料を手に入れる。韓国人のお前たちに理解できるのか。」

と激怒した後、あきらめたような顔をして

「ハンバーガーやコーラを飲んでいるお前たちには理解できまい。

そして、今までの不幸は、私たちの犠牲(チェ・ミンシクたちが会場ごと爆死する)で終わらせ新しい朝鮮半島の歴史が始まる。」

と、述べる。

その時のチェ・ミンシクの目が象徴的だった。

あれだけ、冷酷無比で感情を出さないチェ・ミンシクが激怒していた時の目は、怒りと同時にそんな祖国の哀れさに対するやりきれない哀れみがあの瞳に宿っていたように感じました。

このシーンを見ただけでこの俳優の実力は十分理解できました。

そんな徹底的な冷酷さは、祖国を韓国の様な豊かな国にしたいと言う強い思い。

それを実現するためには、徹底的な冷酷さが必要と考えて実行している。

この様な人物が主役とヒロインを盛り立てる。

この様な冷酷な現実南北分断という政治的メッセージが、この物語の下地があるので、単なるラブロマンスにならない重さが、この作品にあります。

それだけでもすごいのですが、最後に主人公のハン・ソッキュは、フィアンセのキム・ユンジンを自ら拳銃で射殺します。

その後、情報部でハン・ソッキュは事情聴取されます。

キム・ユンジンと同棲しているのに相手が北の工作員であることを見抜けなかったことに対しての事情聴取です。

その中で、私が愛したのは、イ・ミョンホン(韓国での偽名)でありイ・バンヒ(北の工作員で主人公が追っていた敵の工作員)ではない。

続いて、殺されたフィアンセは現在のヒドラ(ギリシャ神話に出てくる怪物)だと述べる。

体が一つで、頭が二つ。

一つが、フィアンセのイ・ミョンホン

もう一つが、イ・バンヒ(追っている敵の工作員)

南北分断の現実が一人の女性を二つに分けてしまった。と述べる。

この辺りが、この物語が述べたい強いメッセージ。

政治的なシーンは多くはないが重要な事柄です。

こうして、政治的なシーンが話があった後、フィアンセからハン・ソッキュに贈り物が送られてきます。

そこは、手編みのセーター。

極め付きは、その後の留守番メッセージ。

その中身は、「私の人生は短かった。

その大半は、南北統一の革命闘争に自分のほぼすべてをささげてきた人生だった。

そして、最後の締めくくりとして韓国に潜入しハン・ソッキュに出会い同棲した日々。

この短い日々が私の人生の幸せの全てです。

今、私はスタジアムに来ています。

お願いだから、貴方はこのスタジアムに来ないで・・。

でもあなたに最後に会いたい。

とキム・ユンジンが留守電に最後の遺言を残すシーンが出てきます。

そのシーンで観客の女性たちのすすり泣く。

このシーンは徹底的に感情に訴えかけてきます。

かつて、韓国映画と言えば暗く人情に訴えかける映画造りが多い印象です。

しかし、今回も確かに感情に強く訴えかけてきますが、それはかつての韓国映画のそれとは、少し違うように感じます。

今回の作品において、韓国の若き製作者は、「泣かし系」という韓国映画の伝統やハリウッドのテクニックを取り入れていた。「シュリ」のカン・ジェギュは観客が観たいというテーマを選んで、映像化したところがヒットの要因である。

この辺りも監督をはじめとする新しい韓国の映画人たちの想像とアイデアが詰まった作品だと感じました。

映画名の「シュリ」の意味は?

「シュリ」とは、北朝鮮と韓国の間にある綺麗な川に住む魚を意味している。南と北を行ったり来たりする北朝鮮の工作員を意味し、暗号として用いられていた。

【画像:シュリ(ヤガタムギツク)韓国固有種 入荷! | 日本産淡水魚・大型肉食なまづや新着情報ブログ

【画像:ニキータ – 作品 – Yahoo!映画

【画像:おすすめのフランス映画 第17弾 – Jardin francais

本作の参考となった映画がある。リュック・ベッソン監督の『ニキータ』だ。その中に登場する女工作員を意識して作られているといえる。

シュリがヒットした理由

「シュリ」は韓国で600万人を動員し、日本でも18億円の興行収入を記録した。

オープニングの訓練シーンからいきなりパワフルなアクションを見せつけられ、スパイ戦で手に汗握り、民族的な悲劇で涙し、感動的なクライマックスへ。

「シュリ」は激しいアクションとラブロマンスを見事に融合したエンターテインメント作品。

そのドキドキ感と感動が大ヒットを生んだ要素といえよう。

シュリを見ていて、思い出されるのが、リュック・ベッソンの「ニキータ」です。

今回のシュリですが、ベースになっているのはフランス映画のニキータだと思います。

つまり「韓国版ニキータ」といえる。

「ニキータ」では、主人公は元不良少女で警官を殺害し死刑宣告されます。

しかしフランスの諜報機関がこの少女の並外れた運動神経を評価していて、秘密工作員として使えるのではないかと考えました。

そこで、表向きは死刑執行した形にして、裏で諜報機関の担当者が、主人公に対し「もし工作員として国のために働くことを承諾するのであれば、死刑は行わない。もし承諾しないのであれば、この後死刑執行を行う。」と提案した。

そこで、主人公は承諾し秘密工作員となります。

様々なミッションを行い、表向き私生活において、恋人が出来同棲を行います。

そして最後のミッションに失敗し彼女は、すべてを棄てて逃亡しその後どうなったのかわからないまま、物語はエンディングを迎えます。

「ニキータ」と「シュリ」の相違点は、ニキータにおいては、主人公の男女は敵同士でなく、彼氏は一般人に対してシュリの方は、主人公の男女は敵同士でお互い同業者の工作員であり、より悲劇的な結末を想像させます。

又、「ニキータ」においては、政治色がほぼ出てこない物語設定です。

逆に「シュリ」は政治色が、物語の下地となっています。

そして最後の結末が、ニキータ―は逃亡して終わります。

一方シュリは、彼氏が婚約者を自ら射殺して物語が終わります。

こういった相違点があります。

一方、「ニキータ」と「シュリ」共通項は、物語が二項対立図式になっている事。

ヒロインが秘密工作員で、表の私生活で恋人が出来て幸せな生活を送っている事。

一方裏では、過酷な工作員としてのミッションを行います。

それ以外にとして、剛と軟です。

剛は、政治的側面であり、南北朝鮮の政治状況だ。

そして、南北の経済政治格差です。

「シュリ」は北朝鮮の原野から物語は始まる。そこに佇む軍服の男性。緊迫感あるBGMとともに鋭いナイフで人が刺され、互いに向き合い敬礼するシーンから始まる。

撃ち抜かれる隊員もまた、死と隣り合わせの状況ながら、いかに感情を出さず微動だにせずいられるかが試される。冒頭で過程を卒業する女性工作員が描かれるハードな内容だ。

そして、潜入した女性工作員が韓国国内で犯行に及んだ内容が縦続けに出てきて、その工作員を追い詰める韓国側の諜報局の部隊が船内を見回っていくシーン。

いずれも、剛であると同時に鑑賞者を画面に釘付状態にする効果がある。

その次のシーンには、軟の部分が映し出される。

軟の部分は、韓国側の諜報局のチーフのプライベートが映し出され、そこでは、恋人との甘い生活が映し出される。

以後、事あるごとに、この剛と軟が交互に現れ、軟の部分が切ない悲哀を帯びたものに変化していく。

それは、ヒロインが実は、北の秘密工作員で、韓国側の諜報局のチーフの恋人に扮していたという設定にある。

つまり、お互いが敵同士の関係だ。

ヒロインは、彼氏に自分の本当の事を騙して近づいていたが、だんだん情が移っていく。

しかし、工作員として非情な指令が次から次へと出てくるため、そのことで、ヒロインは思い悩みます。

この辺りはかなりパンチの利いた悲恋物だ。

そして、最後の巨大スタジアムの対決シーンへと流れ込む。

ここに至るまで、何度も剛と軟を出していく。

これが、片一方だけだと、堅苦しくなるか甘いだけの荒唐無稽の話になる。たとえば剛だけだと、説教臭い政治的型ぐるしい話になり、工作員の訓練はきつい内容になってしまう。

こうなると、単なるスパイ工作物の映画になってしまう。

一方、軟だけだと、スパイ要素のあるラブコメディものになってしまう可能性がある。

「忍者に結婚は難しい」「Mr.&Mrs.スミス」などにあるようなスパイラブコメディーぽっくなってしまう。

しかし、今回の作品は、両方の要素をうまく取り込んでします。

本来なら堅苦しくなる政治的要素をラブロマンスを悲哀ものにすることで、うまくつじつまを合わせている。

かつての韓国映画は堅苦しく、暗い内容が多く、古臭い感じが多かった。

また、韓国映画界自体が対極にあるハリウッドにある娯楽性のあるものを軽蔑する風潮もあった。

若い韓国映画人たちは、これを逆手に取り、堅苦しく、暗い内容を下地にしつつもそこに娯楽性をうまく取り込んだ。

これが出来たのも韓国が実際南北分断という事実があることが、逆に作品に真実味を持たせ、うまい形に作品が出来ています。

もし、日本が舞台ならあのような作品を作るのは難しかったであろう。

このような映画にするとすれば、戦前を舞台にしないと整合性が取れず、見ている観衆は冷めてしまうだろう。

シュリのあらすじ

北朝鮮の原野から物語は始まる。そこに佇む軍服の男性。緊迫感あるBGMとともに鋭いナイフで人が刺され、互いに向き合い敬礼する。

【画像:Shiri

訓練の一場面だ。

ランニングなどのごく普通な訓練から、人を殺める訓練までもが行われる。躊躇う者は、その場で自分が殺される。これが特殊工作員の訓練だ。

二人一組で対峙し、先に銃を組み立てた方が相手を殺める、囚人集団を相手に格闘し命がけで戦うなど、訓練シーンはかなりハードだ。

【画像:Shiri

特殊部隊は存在が秘密であることから、脱落した者も同じく殺される。本当の死と向い合わせの状況下で、いかに冷静沈着に対応できるかが訓練されるのだ。

動くバスの中に置かれた人形の頸椎を撃ち抜く、人の首と首の間に置かれたビール瓶を銃で撃ち抜くなど、ハードな訓練シーンが続く。

【画像:Shiri

撃ち抜かれる隊員もまた、死と隣り合わせの状況ながら、いかに感情を出さず微動だにせずいられるかが試される。冒頭で過程を卒業する女性工作員が描かれる。

韓国では、ガス爆発を引き起こしや重要人物を暗殺する女性工作員イ・バンヒを追って、韓国秘密情報機関OPの特殊要員ユ・ジュンウォンと相棒のイ・ジャンギルは、最近相次ぐ要人暗殺事件の捜査秘密情報機関が調査に奔走する。

同時に流れるは主人公ユ・ジュンウォンのプライベートシーンだ。

【画像:『シュリ』日本版劇場予告編

殺伐とした捜査シーンと並行して、プライベートシーンすなわち結婚をも思わせるラブロマンスが描かれる。

【画像:『シュリ』日本版劇場予告編

一方、捜査ではその先々でキーマンが暗殺される。そこに武器の密輸を自供する男から連絡がかかってくる。「北朝鮮の工作員に命を狙われているため、身柄を確保してほしい」というもの。

話を聞くと、北朝鮮工作員は、韓国が秘密裏に開発している、国防科学技術研究所の開発した新素材であり、驚異的な破壊力を持つ液体爆薬CTXを奪取しようと画策していることがわかる。

【画像:太虎 på Twitter: “映画「シュリ」。北朝鮮第八特殊部隊長役のチェ・ミンシク

【画像:韓国映画ブームの原点 『シュリ』 : 韓国なんでもブログ

主人公らが研究所を訪ねても、国家機密であることから、その製造や保管については知ることができない。

事件には、女性北朝鮮工作員イ・バンヒが関与していることが見えてきたが、中々足取りが掴めずにいた。

【画像:シュリ – 写真 – 映画情報 – クランクイン!

一方で事件のキーマンが次々と暗殺されていくことから、内部情報漏洩の可能性もあると、疑心暗鬼になる主人公ら。捜査を進めると、なんと金魚型の盗聴器が仕掛けられていたことがわかった。

金魚型の盗聴器はどこから入ってきたのか。それは、ユ・ジュンウォンの恋人経由で入ってきた金魚であることがわかった。

【画像:『シュリ』日本版劇場予告編

相棒イ・ジャンギルがそこに乗り込むと、そこには北朝鮮第八特殊軍団隊長のチェ・ミンシク。激しい銃撃戦の後、イ・ジャンギルは命を落とす。

銃殺された相棒イ・ジャンギルの手には、朝鮮南北合同チームのサッカーのチケットが握りしめられていた。

【画像:シュリ : 過敏性腸炎オヤジの映画鑑賞日記

それは、試合開催時に当時の北朝鮮のトップ・金正日書記長が来国することを意味していた。この競技場を爆破することが、北朝鮮第八特殊軍団の目的だったのだ。

なぜ、北朝鮮のお膝元である第八特殊軍団がトップの命を狙うのか。その時、チェ・ミンシクから韓国側へ連絡が入る。

【画像:韓国映画ブームの原点 『シュリ』 : 韓国なんでもブログ

「ソウルに爆弾を仕掛けた。爆破時間まで30分」と。続けて言う。「今、自分の前には嘔吐する男性がいる。いい気なものだ。同じ朝鮮でも、北の方では食べる物もないのに」。

「南の方では、酔っぱらって嘔吐しているなんて…」、北朝鮮第八特殊軍団隊長チェ・ミンシクの皮肉だった。

【画像:輝国山人の韓国映画 カン・ジェギュ シュリ

北朝鮮の生活環境は最悪だった。このままでは同胞たちは飢え死にする。今まで書記長の命令に従っていたが、このままではだめだと書記長直属の部隊でありながら暗殺を企てたのだった。

チェ・ミンシクは言う。「書記長暗殺を機に、北朝鮮は韓国に戦争をしかける。そして南北統一を図るのだ」と。

【画像:映画 シュリ(1999) 抜群に面白い韓国製アクション映画 – ザ・競馬予想(儲かるかも?)

これから起こす爆破を韓国が企てたかのように見せることが目的だったのだ。主人公ユ・ジュンウォンはそれを防ぐべく攻防戦に出る。チェ・ミンシクとの格闘シーンは圧巻だ。

チェ・ミンシクは続ける。「いい気なものだ。韓国が試合を見て南北統一だと浮かれている間、北朝鮮はどうだ。若い女は家族の飢えをしのぐため体を売る。農民は草や木の皮まで食べている。親兄弟が死んだらその肉すらも食う。同じ朝鮮なのにここではサッカーか。北はそんなところじゃないんだ」

【画像:キム・ユンジン〜「シュリ」セクシー女スナイパー❗

「だから俺たちは命懸けでやるんだ。ハンバーガーを食ってるお前たちに俺たちの気持ちがわかるわけないんだ」。

【画像:s.korea vs n.korea (1998 movie) Swiri

チェ・ミンシクの演技は、世良公則を思わせる名演技。その独特の目力と迫力は、クセのある役を演じると一品ものだ。格闘の末、間一髪のところで、主人公は爆破を食い止める。

死に際、チェ・ミンシクは言う「俺が死んで終わると思うなよ」と。

女工作員が捕まっていないことに気づく主人公ユ・ジュンウォン。狙撃による暗殺を防ぐべく、トップの元へと急ぐ。

【画像:映画シュリのあらすじ・キャストと感想まとめ!アクションシーンがすごい?

【画像:Shiri

そこで対峙する主人公と女工作員イ・バンヒ。彼女は、結婚を目前に控えていた恋人・ミョンヒョンだった。

ジュンウォンの恋人であるミョンヒョンは、実は自分が追っている犯人、北朝鮮スパイのイ・バンヒだった。ジュンウォンは驚愕の真実に絶望した。

【画像:『シュリ』日本版劇場予告編

【画像:Shiri

自分に見せていた彼女の笑顔も、愛の囁きも思い出も全て嘘だったのかと。彼女の何を信じればいいのか。自分は彼女を前にどうすればいいのかと。

イ・バンヒが騙っていたミョンヒョンという偽名は、実は彼女の妹の名前だった。イ・バンヒは整形をして妹ミョンヒョンそっくりに化けていたことから、長きにわたり潜伏生活を続けることができた。

【画像:シュリ

そしてイ・バンヒもまた、自身に課せられた使命とジュンウォンへの愛の狭間で葛藤していたのだった。

イ・バンヒの使命は祖国復活であった。韓国では豊かに人々が暮らすことができる一方、北朝鮮では今日食べるものにさえありつけず、飢え死にしている現状。

【画像:『シュリ』日本版劇場予告編

それを変えようとしない国のトップ。これを打破するために導き出した答えは、両国のトップを殺害し戦争を経て南北を統一することだった。

次に出会った時は敵同士、殺し合う運命。わかっている。それが自身に課せられた使命。しかし、相手のことを心から愛している。

【画像:쉬리 (S_wiri)

どうすればいい。自分にとっての正しい答えはなんなのか。ジュンウォンも、イ・バンヒもそれぞれが同じ思いを抱きつつ答えを出せないまま、二人は遂に運命の邂逅を果たす。

イ・バンヒは、爆弾が不発だった時のため、狙撃による暗殺も企てていたのであった。しかしそれもまた失敗に終わる。

【画像:쉬리 (S_wiri)

すかさず逃げる両国のトップ。逃しはしない。祖国復活、それこそが自分の生きる意味。彼女は腹を決めていた。しかし、そんな彼女の前にジュンウォンは現れた。

ジュンウォンは同僚に言われていた。「嫁さんに自分の仕事のことを言わないのか。もし何かあったらどうするんだ」と。ジュンウォンは答える。

【画像:쉬리 (S_wiri)

「嫁には言わない。任務を優先する」と。本来なら即座に敵を殺めるジュンウォン。彼女を前に、銃を持つ手を震わせていた。

二人は銃を互いに向け、睨み合っていた。使命を帯びた眼光は、何かを訴えているようだった。

【画像:쉬리 (S_wiri)

一瞬で全てが決まる。国の運命も、愛も、二人の未来も。イ・バンヒは、視線をそらし両国のトップに向け銃口をかざした。それは、ジュンウォンが自分を撃ちやすくするための動作であった。

出演者

「シュリ」の出演者について紹介する。

・ハン・ソッキュ

ハン・ソッキュは秘密情報機関OPの特殊要員ジュンウォンを演じた。

【画像:Yahoo!映画

ハン・ソッキョは、ソウル特別市にあるヨンムン高等学校、東国大学校演劇映画科を卒業後、

【画像:韓国の映画~八月のクリスマス – 大人の韓国 +han

【画像:二重スパイ の映画情報 – Yahoo!映画

映画「二重スパイ」やホ・ジノの初監督作品「八月のクリスマス」にも出演している。

・チェ・ミンシク

チェ・ミンシクは、北朝鮮兵隊長パク・ムヨン役を演じて強烈な印象を残し、第36回大鐘賞主演男優賞をはじめ各賞を総なめにした。

【画像:きまぐれCafe Time

チェ・ミンシクは、東国大学演劇映画学科で演技を学び、1981年に舞台俳優としてデビュー。

【画像:「我らの歪んだ英雄」感想・キャプチャー写真 | ポコアポコヤ 映画倉庫

【画像:クワイエット・ファミリー:映画作品情報・あらすじ・評価

【画像:オールド・ボーイ の映画情報 – Yahoo!映画

「われらの歪んだ英雄」(1992)や「クワイエット・ファミリー」(1998)「オールド・ボーイ」(2003)などに出演し、屈指の演技派と評判の俳優だ。

・キム・ユンジン

次にヒロイン役のキム・ユンジン。

【画像:きまぐれCafe Time

キム・ユンジンは、韓国に潜入した北朝鮮工作員のイ・ミョンヒョン役を演じた。

キム・ユンジンは、ボストン大学公演芸術専攻を卒業後、ニューヨークのブロードウェイで演劇俳優として活動。

TVドラマ『華麗なる休暇』(1996年)や『予感』(1997年)などに出演し、本格的な映画はこの「シュリ」がデビュー作。

キム・ユンジンは新人ながら劇中キーパーソンとなる役を任され、多くの賞を受賞した。

【画像:ハーモニー 心をつなぐ歌 の映画情報 – Yahoo!映画

【画像:国際市場で逢いましょう : 作品情報 – 映画.com

また、シュリ以降、近年の有名作品として、『ハーモニー 心をつなぐ歌』(2010年)・『国際市場で逢いましょう』(2014年)は有名です。

・ソン・ガンホ

ソン・ガンホは、主人公の相棒であるイ・ジャンギルを演じた。

【画像:きまぐれCafe Time

ソン・ガンホは、高校を卒業後、慶尚専門大学放送芸能科を中退し兵役に参加。除隊後の1991年から舞台俳優として活動し始め、96年にホン・サンス監督の「豚が井戸に落ちた日」で映画デビューし、「反則王」で初主演を務めた。

【画像:豚が井戸に落ちた日 : 作品情報 – 映画.com

【画像:反則王 – 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信

【画像:殺人の追憶 : 作品情報 – 映画.com

他にも韓国の軍事政権下1980年代後半に実際に起こった「華城連続殺人事件」もとに作られたポン・ジュノ監督の「殺人の追憶」では、最優秀主演男優賞を受賞しました。

因みにこの作品は2019年9月に日本において舞台化された。

「JSA」では大鐘賞で主演男優賞などを受賞し、トップ俳優として世界的に認められる。

【画像:20年経っても変わらず胸を打つ、パク・チャヌク監督の出世作『JSA』

近年では、是枝裕和監督作品の『ベイビー・ブローカー』でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞したことで有名で、今回の出演者で国際的に活躍している俳優として有名です。

【画像:ベイビー・ブローカー – 映画情報・レビュー・評価・あらすじ

イジャンギル演じるソン・ガンホは、重要な情報を情報提供しようと武器密売組織の長イムボンジュ演じるソンホギュンと接触しようとするが、わずかの差でユジュンウォンの目の前で彼は暗殺されながら戻る。

パク・ヨンウはOP所属の新人エージェントのオ・ソンシクを演じた。

【画像:きまぐれCafe Time

【画像:Amazon.co.jp: 罠を観る | Prime Video

【画像:YESASIA: 血の涙 (2005) (DVD) (UK版) DVD – パク・ヨンウ, チャ・スンウォン (俳優) | チ・ソン (俳優) | キム・デソン (監督)

パク・ヨンウは中央大学演劇映画学科を卒業し、1997にMBCのドラマ「応急室25時」でデビュー。同年に映画「わな」にも出演。2005年には映画「血の涙」で春史大賞映画芸術祭助演男優賞を受賞した。

制作エピソード

「シュリ」では北朝鮮特殊部隊を描く際に軍事情報誌などたくさんの資料を参考にするだけでなく、実際の北朝鮮特殊部隊出身の亡命者へインタビューをしたことに基づいている。

実際の工作員がどのようなオペレーションを行うのか実際のインタービューがかなり参考になったみたいです。

また、この映画では多くのアクションシーンが出てきます。

このアクションシーンではリアリティを出すために出演者たちに実際に様々な武術訓練を受けさせている。

あまりにも規則が厳しすぎたので、最後の頃には俳優が、教官に殴りかかったこともあったそうだ。このような殺気立った状態が、作品にリアリティを与えている。

また、作品内で使用している銃器も実際のものに忠実に見せられるように充実しており、クライマックスのスタジアムのシーンも実際の試合の日のものとエキストラを使用した日を組み合わせるほど、リアリティにこだわり仕上げている。

冒頭この映画が、「ニキータ」を参考に作ったことを述べたが、その際、使用されたものと同じ銃器を使用し、暗殺に向かうために組み立てたシーンはニキータでも同じようなシーンがあった。この辺りもこの作品のクオリティを担保した。次章でアクションと銃器について詳しく見ていく。

アクション編

「シュリ」ではアクションシーンを撮るために、俳優たちは撮影開始1か月前からさまざまな武術訓練を受けた。

ハン・ソッキュはロープで降下するシーンで火傷を負い、キム・ユンジンは回し蹴りの練習で歯を折り、チェ・ミンシュクも肋骨にひびが入るほどの大怪我をしている。

壮絶なアクションシーンだったことがうかがえる。

冒頭の訓練シーンで工作員訓練生が、政治犯収容者とぼしき人たちを襲い実際撲殺したシーンが出てくるが、あれは、架空の事でなく、実際に同じようなことを行っていたようだ。

元日本人拉致を行った工作員の証言で、訓練生時代に殺害を行う訓練について記載があった。

かなり生々しいが、やはり実際の殺害を行わないと、訓練の精度が違うものと想像するが、今回の映画では冒頭に使用している。

今回の作品では、多くの格闘シーンが出てきました。

その際、アクション映画の本場アメリカのハリウッドでは、俳優を保護するために厳しい規制があり、顔面など素肌を狙った発砲はあまり演出に使われないが、「シュリ」ではリアリティー重視のため多くの顔面など素肌を狙った発砲シーンが見られる。

後最後のスタジアムシーンも実際の試合が行われたシーンとエキストラが入ったシーンがうまく組み合わせてより臨場感とリアリティーのクオリティーをあげています。

因みに、実際の試合は、98年に行われた韓国対中国のワールドカップの試合だったそうです。

こうなれば、実際の試合で観客の盛り上がりは、異様なまでで、今回の映画の設定となる南北選が行われたと言う架空の設定であっても同様な盛り上がりが想像できるので、よりリアリティーを担保できます。

なお、会場は韓国サッカーの聖地チャムシルスタジアムでした。

銃器

映画で使用される銃器も充実していて、銃器マニアには見逃せないものが多くある。

【画像:쉬리 (S_wiri)

【画像:ラスト15分で急に置いて行かれる展開に納得いかず-「ニキータ (1990仏)

まず、主人公のユ・ジュンウォンやその相棒のイ・ジャンギルはイタリア製の「ベレッタM92F」を携帯している。これは「リーサル・ウェポン」シリーズや「ダイハード」シリーズなど映画でも頻繁に使用されている銃だ。

そして、冒頭の北朝鮮の特殊部隊の訓練シーンから韓国にシーンが変わり、北の工作員を追跡するために韓国の警察の狙撃部隊が貨物船に突入するシーンが出てきます。

この際に使用した銃は、ドイツのH&K(ヘッケラーウントコッホ)社製の「MP5」と言う自動小銃で世界的によく使用されている銃です。

しかし、今回の「シュリ」の中でピンポイント狙撃のためにレーザー照射のシーンが出てきますが、実際にはあのように派手にレザーがわかるようにはなっていませんが、今回ははっきりわかるように演出されています。

容疑者追跡時にビル街での大銃撃シーンで赤い革コートを着たイ・バンヒが使用した狙撃銃はドイツのH&K(ヘッケラーウントコッホ)社製。

口径7.62mmで実際には6kg以上あるので、暗殺用ではなく、実際には手に持って撃つライフルではないものを「シュリ」では採用している。

このあたりが韓国の国民性であり、だからこそ韓国映画は面白い。とくに、銃を向け合うラストシーンは、映画『ニキータ』を意識しているのが読み取れる。

映画『ニキータ』では、暗殺を実行すべく風呂場にて銃を組み立てるシーンがあるが、映画『シュリ』においても、イ・バンヒがトイレで銃を組み立てるシーンがある。

【画像:Assembly | Chicago Blog

【画像:映画に登場するプロップガン〜アサシン(暗殺者)が使用する得物は映画にどう描かれてきたか…

【画像:まゆを。 a Twitter: “この hash tag見て、直感で浮かんだ作品

この銃は、ステアーAUGと言い、オーストリア製の223口径オートマチックライフルで、オーストリア軍で1977年に正式採用された銃である。

『ニキータ』、『シュリ』で登場する銃・AUGシリーズは、ほかにもオーストラリア、ニュージーランド、サウジアラビア、アメリカの沿岸警備隊、フランスの特殊部隊GIGNとまったく同じ銃を使ってることから、『シュリ』は『ニキータ』をかなり意識しているといえるだろう。

【画像:映画に登場するプロップガン〜アサシン(暗殺者)が使用する得物は映画にどう描かれてきたか…

【画像:まゆを。 a Twitter: “この hash tag見て、直感で浮かんだ作品

殺し屋が登場する映画としては『レオン』(1994年、米仏)も有名だ。「清掃人」と言われる非人間的な殺し屋に人間的な要素を含ませる作品で、これもまた涙なしに見ることはできない。日本では1995年に公開された。

【画像:レオン/ロリータ的脚本を名作に変えた3人の名優たち

【画像:レオン/完全版 – 作品 – Yahoo!映画

その際のキャッチコピーは「凶暴な純愛」。

今回の映画で多くの銃器が出てきますが、それらの銃は日本製のモデルガンが多用されています。

やはり、日本製のモデルガンはかなり本物に見えるような出来栄えなので使用されたようです。

そして、それらの銃をこれでもか、と見せつけるのがラストでは愛し合っていたイ・バンヒとジュンウォンが対峙する。

愛し合っていた2人は一言も交わさないまま、1発の銃弾で終わらせる。しかも顔を狙って。

あまりに冷酷な最後に観客は息を飲む。

ここだけでもモデルガンだとわかっていても銃器の冷たさを感じさせるシーンとしては、十分威力を発揮しています。

しかしこの映画は韓国映画です。

泣かせ節の本場です。

このシーンを最大限利用する演出が待っています。

イ・バンヒが最愛の男性のために死後に到着するように遺品として送られてきたのが手編みの白いセーター。

極寒の北朝鮮での訓練、黒く、重く、硬質で冷たいガン。

それに対して、暖かく柔らかく軽そうな白いセーター。

これも冒頭の二項対立の図式が成り立っている。

そして、ヒロインが残した留守電のメッセージ。

「人生の大半が不幸で、短い期間だったが、私の一生分の幸福だった。そして、今、あなたと会いたくない。しかし会いたい。」

このくだりに観客たちは言葉を失い、多くの女性客は思わずすすり泣く。

いや、これだめでしょう。

ここまでやるの反則ですよね。

銃をここまで徹底して利用していますね。

シュリの背景。韓国の歴史・社会組織

映画「シュリ」のストーリーの背景には韓国の歴史や社会組織の問題がある。

日本人にとってはあまり馴染みのないところもあるが、このあたりも理解しておくとなおこの映画が楽しめる。

朝鮮戦争

まず、朝鮮戦争について、理解しておこう。

朝鮮戦争とは、1948年に成立した直後の大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の間で勃発した、朝鮮半島の主権を巡る国際紛争である。

1950年6月25日に金日成率いる北朝鮮が、事実上の国境線と化していた38度線を越えて韓国に侵略戦争を仕掛け、勃発した。

1953年まで3年間戦争は続き、国連軍と中朝連合軍は朝鮮戦争休戦協定に署名し、現在まで休戦状態が続いている。

しかし、終戦はなく、休戦なので、現在も北朝鮮と韓国は38度線で分断されており、米韓での合同軍事演習や北朝鮮のミサイル挑発など現在でも平和的な状態とはいえない。

「シュリ」のアクションシーンに迫力があるのは、このような緊張関係がある社会問題が背景にあるためでもある。

韓国の諜報機関

シュリは1999年に制作されている。

OPのモデルになったのは「大韓民国国家情報院」と思われる。

【画像:韓国情報機関が創設60年 新スローガン「限りない忠誠と献身」

大韓民国国家情報院についても理解しておこう。

大韓民国国家情報院は1961年6月13日に設立された韓国大統領朴正煕の直属で設置された情報機関にして秘密警察である。

朴正煕政権はアメリカの中央情報局を手本に韓国中央情報部(KCIA)を創設した。

その後、国家安全企画部と名称変更し、映画、「二重スパイ」・「工作」の舞台となる韓国の情報機関は、この「国家安全企画部」である。

北朝鮮の諜報機関

一方で北朝鮮の諜報機関は「国家保衛省(旧称・国家政治保衛部)」である。

【画像:北朝鮮の秘密警察が異例の登場 軍事パレードで行進 – 北朝鮮

1973年に内務省(警察担当省庁)に相当する社会安全部から、政治犯を専門とする国家政治保衛部が分離された。

北朝鮮では言論の自由はない。

1982年に「国家政治保衛部」から「政治」という文字が除かれ「国家保衛部」となり、1987年に「国家保衛部」は「国家安全保衛部」に改称された。

現在では、単なる治安機関の枠を越えて、金正恩式「恐怖政治」の実行部隊となり、大物幹部を粛清・処刑に追いやっている。

政治幹部に限らず、国民に対しても法的手続きなく逮捕することができ、政治犯収容所に入れたり、死刑に処することができるなど強力な権限を持つ。

第8特殊軍団

「軽歩兵教導指導局(TUGB)」はかつて「特殊第8軍団」として知られている。

朝鮮人民軍総参謀部のコマンド部隊・特殊作戦部隊、およびこれを統括する司令部組織だ。

【画像:金正恩の特殊部隊 「ポンコツ」過ぎて中朝国境から撤収(高英起)

「軽歩兵教導指導局(TUGB)」は、朝鮮人民軍の全ての特殊作戦部隊(SOF)におけるフォース・プロバイダーであり、合計で9万ないし12万名の兵力があるとされている。

「軽歩兵教導指導局(TUGB)」には、「軽歩兵部隊」「狙撃部隊」「航空陸戦部隊」などが編成されているといわれる。

北朝鮮の諜報員・秘密工作員養成機関・金正日政治軍事大学とは

北朝鮮の秘密工作員の養成機関である「金正日政治軍事大学(キムジョンイルせいじぐんじだいがく/朝鮮語表記:김정일정치군사대학교)」は、別名を「朝鮮労働党130連絡所」「人民軍695軍部隊」ともいう。

自らの意思ではなく、当局の召喚によって工作員養成の機関であることを知らないまま入学する。

1945年に平壌市に金剛(クムガン)学院が設置されたのがはじまりで、1948年には海州市に松島(ソンド)政治学院が創設された。

1957年にこの2校を統合して平壌に朝鮮労働党政治学校を開設し、1972年 に金星政治軍事大学に改称した。

1992年1月25日 には烽火(ボンファ)政治大学を分校として分離され、金星政治軍事大学は、作戦部管轄の「金正日政治軍事大学」に改称された。

金正日政治軍事大学は、平壌駅から北へ約12,5キロメートルの位置にあり、大学の敷地は鉄条網に囲まれている。

金正日政治軍事大学の予算は、北朝鮮の1つの道を賄える程、巨額であるという。

教育内容

金正日政治軍事大学は6年制で、格闘技や射撃、水泳、爆弾製造、壁登り、語学、地質学、無線(モールス信号)、航海術などの訓練があり、革命歴史、労作、思想、哲学、情報学といったイデオロギー教育を受ける。

【画像:北朝鮮拉致工作員 / 安 明進【著】《アン/ミョンジン》/金 燦【訳】《キム/チャン》

真偽は不明だが、「情報班」「外国語班」「戦闘員班」「案内班(特攻隊班)」「航海班」「機関班」「通信班」があるとされる。

「首領と党のために自爆、自殺しよう!」と唱和することが義務づけられ、語学においては、潜行する相手国で、本国人と見分けがつかないくらいの高い語学教育が施される。

軍事訓練は、「陸上訓練」「水中訓練」「格闘訓練」「短刀操法」「射撃訓練」「海上訓練」「韓国人化訓練」など大変ハードなノルマが課される。

教官は金正日政治軍事大学OBの工作員がなることが多く、外国人化訓練では、「李恩恵」(本名、田口八重子)など、拉致された外国人が務めることがある。

卒業生は、工作員連絡所に配属され、対南工作員、対日侵入工作員として、いつでも侵入できるよう準備される。

主な卒業生には、横田めぐみさんを拉致したとされる丁順権や、大韓航空機爆破事件の実行犯の一人である金賢姫 などがいる。

シュリの結論

南北分断の政治的な背景と特殊工作員との愛という2つのテーマを映像化した「シュリ」。

もとは同じ民族でありながら、休戦状態の中で分断されている歴史的背景を実感している韓国国民にとって、日本人には理解できない感情がこの映画を通じて湧き上がってくるのだろう。

平和を望まない人はいないと思うが、簡単には解決できない問題をこの映画では愛とアクションを通して、伝えようとしている。

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